なまけもの

本、ドラマ、生活。

20240428 臨月日記

朝から晴れ渡って清々しい陽気だ。庭の沙羅の木の若葉はより一層深みを増し、ラベンダーはもう芽をつけ始めた。今日はまだ4月であるというのに、最高気温は28度となる予報である。

 

近年はオーバーツーリズムなどと問題視されている上、円安で海外旅行などいけたものではないが、やはりゴールデンウィークともなれば旅行の一つでも行きたいものである。が、私は身重で臨月だ。身体は自由に動かない。少し歩けば重いお腹を支えるために重心が傾き、重みを一手に引き受けてくれる踵が痛くなるし、気持ちの良い陽光の中を眠ろうにも、お腹の圧迫で息も胃も苦しく途中で起きてしまう。胎児に圧迫された膀胱のせいで、頻尿は寝不足を加速させる。脚は浮腫んでさつまいもの様態であるし、気持ちは美味しいものを食べたい気持ちはあるけれど、好物の寿司も食べられなければ、そもそもが胃が圧迫されていてなかなか食べられない。どうしてこんなに不自由なのだろうか。どうして私の時間や身体や心をここまで犠牲にしなければならないのだろうか。

 

私はもともと子供を欲しいとは思っていなかった。正確には、子供はいてもいいが、妊娠と出産という過程については承服しかねるとかねがね思っていた。自分を犠牲にしてまで、手に入れたいと思うものなど人生にはそれほど多くない。犠牲にしてまで手に入れたいと思うものの中に、私の場合、子供は入っていなかったのである。

 

正直、もう少し仕事に活かせる勉強を根を詰めてしたかったし、趣味の生け花も続けてどんどんやりたい盛りの時分だったのだ。妊娠してもそれはできるだろう、などと言われるかもしれないが、私には日々の不調と闘いながらそれをすることはできなかった。約9ヶ月にわたる我慢の日々を続けている私の忍耐力、褒められても良いだろう。

 

そうこうしているうちに、臨月まで来た。あと少しとなったが、そろそろ耐えられなくなってきた。いつ発狂して李徴のように虎になるとも限らない。私は虎にならずに無事に出産を終えられるだらうか。